「コマンドー」の映画評
シュワちゃんの全盛期を存分に堪能できる作品。1980年代に郷愁の念をおぼえる人もたのしめるだろう。
わるい奴らに愛娘をさらわれたシュワちゃんは暗殺の仕事を押し付けられ、その実行地まで旅客便で護送されることになる。
だが、タキシング中に見張り役の敵役を片付けると飛行機が高度をあげる寸前にとびおりて脱出し、さいごは敵の本丸に単身のりこんでわるいやつらをやっつけてゆく。
以上が作品のおおまかなながれだ。
シュワちゃんとその娘が山奥の家で仲睦まじく暮らす様子を描いた冒頭の数分間のシーンが非常に感動的。
こんな暮らしがあったらいいな、こんな暮らしをしみたいと心の底からおもえるうつくしい光景なのだ。とくに、グランドキャニオンのような広大な自然を一望できる部屋でふたりが朝食をでたべるシーンには深く心をゆさぶられる。
言葉にできないくらいにかがやかしく美しい。映画史上、十指にはいるシーンだとおもう。
さて、娘を人質にとられてからはシュワちゃんの筋肉美がおもな見どころとなる。すごい筋肉量なのだ。あらゆる場面でそこに目がいってしまう。
はなしがテンポよくおもしろい作品であることにまちがいはないのだが、ここでちょっと難クセを。
まず、爆破シーンのセットが非常に安っぽい。瞬間、「これはB級映画か?」と興覚めしてしまうだろう。
また、敵のアジトの衛兵たちがシュワちゃんとの銃撃戦であまりにもあっけなくやられてしまう。とにかく射撃が下手すぎて。。観る者の緊張感をいくらかそいでしまっている感はいなめない。
雑魚キャラであっても、もうすこし丁寧にキャストして、手ごわい存在に演出すれば作品全体の緊張感もより高まったように思うのだが。
でも、ラストにはつよい敵も控えているので致命的なほどのマイナスにはなっていない。
ちなみに、ラスボス的な存在の敵を演じているのは、マッドマックス2で北斗の拳のスピードもどきの恰好をしていた役者さんと同一人物だったことを今回はじめて知った。
プレデターでシュワちゃんの部下役の軍曹を熱演していたビル・デュークは敵役で登場。
ビル・デュークの演技を絶賛する「プレデター」の映画評
シュワちゃんの代表作のひとつといえる本作品、込み入った設定はないので疲れのたまった週末でもリラックスしてたのしめるだろう。
「コマンドー」の部分的なBS2分析 (矢印先の時間はAmazonプライムでのもの)
きっかけ(12) ⇒ わるいやつらの襲撃。(12:02)
第一ターニング・ポイント(25) ⇒ 飛行機からの脱出。残り時間のカウントダウン開始(25:07)
BS2とは、ブレイク・スナイダー氏考案のテンプレート。
「SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術」より